結婚式のキャンセル料128万円請求を東京地裁が棄却 344日前の解約が示す契約書の見方

結婚式のキャンセル料128万円請求を東京地裁が棄却 344日前の解約が示す契約書の見方のイメージ

ニュースの概要

結婚式の344日前に式場との契約を解約したカップルに対し、式場側がキャンセル料として約128万円を請求した裁判で、東京地裁が請求を退けたと報じられた。裁判所は、結婚式の日程枠は通常ほかの客に売り直せると考えたとされる。つまり、解約によって式場に生じる損害は、請求額ほど大きくないという見方である。結婚式は準備期間が長く、予約の段階で数十万円から百万円を超える申込金や契約金を求められることも珍しくない。そのため、いつ解約するとどこまで費用がかかるのかは、多くの新郎新婦にとって大きな不安の種だった。今回の判断は、キャンセル料条項の読み方に影響を与えそうである。

引用元: 結婚式の「344日前」にキャンセル→カップルに128万円請求、東京地裁が棄却「通常は再販売できる」(弁護士ドットコムニュース)(Yahoo!ニュース)

分析・見解

344日前の解約で、請求が通らなかった理由

キャンセル料は、解約した側が払う「損害賠償の予定」(=あらかじめ決めておく違約金)にあたる。消費者が結ぶ契約では、消費者契約法9条1号により、同じ種類の契約で事業者に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効になる。今回の東京地裁は、結婚式の日程枠は通常再販売できるという点を重くみたとされる。

式場の言い分は、「その日を押さえたために、ほかの予約を断った」というものになりやすい。しかし約一年前であれば、別のカップルが入る余地は十分ある。損害が出るかどうかは、空いた日を埋められる可能性で決まる。344日という長さが、そこで効いたと読める。

解約が直前に近づくほど、式場の損害は現実味を増す

同じ理屈は、直前の解約にはあてはまりにくい。三か月を切れば、料理の仕入れ、衣装の手配、引き出物の発注が動き始める。これらは実費として戻らないことが多い。人気の土曜や大安の日であっても、直前では買い手が見つかりにくい。つまり判断のカギは、「いつ解約したか」と「その日がどれだけ人気か」の二つである。

ホテルの宴会予約や貸切旅行でも、裁判所は時期と再販売の見込みで損害を見積もってきた。今回の判決は、その流れに結婚式も入ることを示したといえる。

式場が抱える、日付ごとの在庫という難しさ

結婚式場の商品は、日付ごとに一度しか売れない「在庫」である。売れ残れば、その日の収益はゼロになる。だからこそ式場は、早い段階で申込金を取り、解約時には高い割合を請求したくなる。

ところが、需要の高い会場ほど再販売しやすく、請求の根拠は弱くなる。逆に空きの多い会場は損害が大きく見えるが、それを証明する負担は式場側が負う。航空券や宿泊のように、時期に応じて取消料を段階的に上げる仕組みは、理にかなっている。式場も同じ発想を、契約書で具体的に示す必要がある。

一件の地裁判決を、過信しすぎないために

この判決は、すべての解約を無料にするものではない。式場がすでに支払った実費や、特別に作った装飾などは、別に認められる余地がある。控訴される可能性もある。「344日前なら大丈夫」という数字だけを覚えるのは危険で、契約書の条文と式場の予約状況を合わせて見るべきである。

ビジネスへの影響

契約前に、カップルが書面で確かめたい四つの点

まず、解約時期ごとのキャンセル料が、段階表で示されているかを確認する。次に、申込金が返金される条件を聞く。三つ目は、日程を変更した場合に同じ料金がかかるかどうかである。最後に、請求の中に料理や衣装などの実費がどれだけ含まれるかを尋ねる。口頭の説明は残らないため、見積書や契約書で受け取っておきたい。

解約を決めたら、日付と理由を残して書面で通知する。請求額が高いと感じた場合は、支払う前に消費生活センター(電話188)へ相談するとよい。

式場やブライダル事業者が見直すべき料金設計

事業者側は、キャンセル料の根拠を説明できる形に整える必要がある。実費と、売れ残りによる逸失利益を分けて示し、時期が早いほど低くなる段階表にする。解約された日が再販売できた場合は、減額や返金で応じる運用も考えたい。

高額請求で裁判になれば、勝っても負けても信用に傷がつく。口コミが集客を左右する業界では、納得感のある料金表そのものが営業上の強みになる。

提携先を選ぶ立場の企業が点検したい項目

福利厚生や紹介事業で式場と提携する企業も、他人事ではない。紹介先の解約条件が不透明だと、利用者の不満が自社に向かう。提携前に契約書の雛形を確認し、解約条項が消費者契約法の考え方に沿っているかをチェックしておくと安心である。

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